スギゴケと呼ばれる苔には数種類が存在し、メジャーなものではコスギゴケ・ウマスギゴケ・セイタカスギゴケ・オオスギゴケなどが知られています。
それぞれに育つ環境や成長過程に違いがあるのをご存知でしょうか?
スギゴケの種類的特徴や違いを知っておくことは苔庭や苔盆栽などでスギゴケを育成する際に非常に重要な要素となるはずです。
スギゴケの仲間 種類ごとの特徴
スギゴケの仲間の中には背丈が4cm程度で止まるものから20cmくらいまで伸びるものもあれば、乾燥すると縮れてしまい見栄えの悪いものから、縮れずに茎にそっと寄り添うものなど。
さらには乾燥気味な環境でも問題なく育つものから空中湿度が高めな環境を好むものなど様々です。
スギゴケはハイゴケやヒノキゴケ、ホソバオキナゴケなどと同様に苔の中でも育てやすく見栄えがする苔ですので市場流通量も多い苔ですが、それらの苔と比べてさらに細かい仲間分けがあることを理解しておきましょう。
それではスギゴケの仲間にはどのような仲間があるのかご紹介いたします。
コスギゴケ
コスギゴケは低地から山地にかけて広く分布しており、半日陰の地上に群落を形成します。スギゴケの中では一番乾燥した環境にも適応できる種で、茎は枝分かれせずに5cmくらいまでしか伸びません。
葉は緑色でやや灰色がかって見えることが多く、乾燥すると縮れて丸まってしまいます。ただ、排水の悪い土壌を嫌うため、苔庭に用いる際には、地面に傾斜をつけたり、排水性の高い土を用いるなどして育成するようにしましょう。
ウマスギゴケ
渓流沿いの斜面や滝のそばなど空中湿度の高い環境を好む傾向が強く、その分コスギゴケに比べると常にみずみずしい感じを保っているスギゴケと言えるでしょう。
ただ、オオスギゴケも同じような環境に生えていることもあり、一目でウマスギゴケなのかオオスギゴケなのか見分けがつかないこともあります。
強いて言えばオオスギゴケでは、蒴の基部の首のところが浅くくびれますが、ウマスギゴケは深くくびれる違いがあります。
オオスギゴケ
ウマスギゴケと並び苔庭に最も用いられるスギゴケの仲間ですが、数年で枯れてしまうことが多く悩みどころの多い苔でもあります。
枯れてしまう原因の一つがコロニー(群落)内での世代交代がうまくいかないことです。
スギゴケは発芽してから枝分かれはほとんどせずに成長します。
よって年に数センチ伸びたとしても数年でその株の成長は止まり、世代交代の時期を迎えることになりますが、新しい芽が出て来なければ群落全体が枯れてしまうことになるのです。
セイタカスギゴケ
セイタカスギゴケは名前の通り背の高い大型のスギゴケで、亜高山帯の林床の腐葉土や朽木上に生え高さ20cmくらいになるものもあります。
八ヶ岳の苔の森などでよく見られる苔である程度の標高があり、空中湿度の高い林床を好みますので都市部などの庭で苔庭の材料として取り入れるには難易度の高い苔となります。