苔を育てるのに日光は必要か?
苔テラリウムにも日光を当てたほうがいい?
日光を当て過ぎると苔は枯れてしまう?
苔の日光浴はどのようにすれば良いのか?
日光に強い苔と弱い苔がある?
こんな苔と日光の関係についてご紹介いたします。
苔を育てるのに日光は必要か?
「苔に日光は必要か?」という質問に対しての答えは「屋外の苔育成なら日光は必ず必要」となります。
その理由は苔の室内育成であれば日光ではなく、照明の光でも苔を育てることができるため日光は必ず必要というわけではありません。
その点、苔庭や苔盆栽となると日光の当たる環境を維持してあげなければなりません。
苔に日光を当てるメリットは明るさ(光)の供給と熱の供給、乾燥、殺菌効果などが挙げられます。
スナゴケ、ハイゴケ、ギンゴケ等苔の種類を問わず、苔植物は太陽の光を受けて光合成を行います。
よって光が差し込まないような暗い場所では苔は成長することができません。
室内の苔がすぐ枯れてしまう。うまく育たないなんて人はこのことを頭に入れて室内の苔の環境を見直してみるとよいかもしれません。
また、太陽の熱は光合成を促進させるために必要なものでもあります。
植物の種類によって光合成が効率的に行われる気温は変わってきますが、気温が低すぎれば光合成はほとんど行われなくなります。
湿度の関係もありますが、冬は苔がなかなか育たずに春から秋にかけては綺麗な色合いになり、成長するのは温度の影響が大きいものです。
さらにこのことはあまり知られていませんが、太陽の光による適度な乾燥や殺菌も苔にとって必要なものとなります。
苔は気温の上昇に合わせて乾燥することで体内の水分を気化させています。
ここが高等植物と苔植物の大きな違いと言えます。
高等植物は表皮に紫外線や過剰な熱を遮断できるクチクラ層と呼ばれる細胞組織を保有していますが,苔にはそのような細胞組織がありません。
苔の体内に水分が残ったまま異常な高温にさらされてしまうと苔が蒸れてしまい、細胞破壊が起きてしまいます。
そのようなことにならないように苔は太陽の特性を上手く利用して気温が上昇する時には乾燥して耐え忍んでいるのです。
この適度な乾燥と潤いのサイクルにより苔は蒸れて枯れてしまうことや細菌などによるカビの発生を抑えることができています。
このことを知らずに苔を常に水浸しにしているとカビなどが生えやすくなってしまいます。
苔テラリウムにも日光を当てたほうがいい?
小瓶などで作るコケリウムであれば適度に日光に当ててあげたほうが良いでしょう。
しかし、水槽で作るコケテラリウムは照明による管理を行うほうが管理がしやすくなります。
水槽はガラス蓋をするとある程度密閉されてしまうので蒸れやすい点や水を張っていると強い太陽の光により植物プランクトンが活発になり、グリーンウォーター化したり、藻類などが繁殖しやすいなどのデメリットがあります。
苔育成に対して光は必要不可欠ですが、それほど強い光でなくても苔は育つことができます。
よって水槽用のLED照明とプログラムタイマーで点灯時間の管理をしてあげれば毎日自動で苔に適した環境を作ることができます。
日光を当て過ぎると苔は枯れてしまうのか?
日光は苔にとって多くのメリットをもたらしますが、扱い方を間違えると苔を枯らしてしまう原因にもなってしまいます。
室内の環境と屋外の環境が大きく異なる時には環境の急激な変化によって苔が弱ってしまうこともありますので注意が必要です。
例を挙げると真夏の一番気温が高い時間帯に急に屋外に出して日光浴をさせたりするのはあまりおすすめできません。
日差しが強い時には遮光ネットを利用したり、直射日光が当たらない半日影のような場所で管理するようにしましょう。
気温が低めの春先や秋頃でしたら問題ありませんが、明らかに苔の温度が上昇してしまいそうな時には無理な日光浴は避けるようにしましょう。
真夏であれば早朝1時間ほど日光に当てるなどでも効果が見込めます。
また、苔を屋外に出して日光浴をさせたり、窓際において日光に当てるときには風通しも意識しなければなりません。
室内では密閉式の小瓶などで苔を育てると湿度を保てるためいいのですが、そのまま日の光に当ててしまうと必ずと言っていいほど蒸れてしまいます。
蒸れは苔にとって大敵ですので、必ず蓋を開けて通気性を確保してあげましょう。
このように考えると苔の日光浴は慣れるまで意外と難しいもので手間のかかるものでもあります。
よって室内の苔ボトルやコケリウムでもLED照明を利用する人が増えています。
LED照明は熱を発生させないため蛍光灯のように熱くなることがありません。
よって夏場でも温度上昇による蒸れなどの問題も起こらないうえ、消費電力も低いので経済的です。
机の上や部屋のちょっとしたスペースに置いている苔玉などにLED照明を設置してみてはいかがでしょうか。
日光に強い苔と弱い苔
ここまでは苔の性質と日光の関係についてご紹介してきましたが、苔の種類によっても日光への耐性が違うことも理解しておきましょう。
苔の中には日光に強い苔と弱い苔があります。
そのことを知っておくことで苔庭などでも苔の選定が楽になったり、苔を枯らさずに育てることもできるようになります。
日光に強い苔の代表といえばギンゴケです。
ホソウリゴケなどもそうですが、一般的に道端で見かけやすく、小さなコロニーを形成する苔は日光に強い苔とされています。
山の中に比べ市街地の道端などは強い日差しが当たりやすいうえ、湿度も低くなります。
そのような環境に耐えられる苔は日光に強い苔と言えます。
ただ、苔庭作りの際にギンゴケなどしか選べないというのも少々忍びないものです。
もちろん他にも日光に強い苔はあります。
スナゴケやハイゴケなどは苔の中では日光と乾燥に強い苔です。
逆に日光に弱い苔はヒノキゴケやカモジゴゲ、ホウオウゴケ、タチゴケなどです。
日光に強い苔と弱い苔の見分け方の一つは山に生えているか、市街地や田園などに生えているかの育成環境の違いです。
見た目的には日光に強い苔は多少ガザガサしている印象で色合いが薄いのが特徴です。
逆に日光に弱い苔は潤いがあり、深い緑色をしています。
さらにコロニーも大きく、ふさふさした印象を受ける苔が多いものです。
日光と苔の関係まとめ
- 屋外で苔を育てる際には日光は必ず必要。
- 室内で苔を育てる際にはLED照明などで育てることができる。
- 苔の日光浴は日差しの強さや気温を意識しなければならない。
- 苔の日光浴の際には蒸れないように通気性を確保する。
- 早朝の短時間の日光浴でも苔の光合成は促進される。
- 苔の種類により日光に強い苔と弱い苔がある。