スギゴケを増やすためにはスギゴケの生殖について知ることが大切です。
スギゴケがどのように増えるのか?
スギゴケの雄株と雌株、そしてスギゴケが増えるための胞子のうなどについてもご紹介いたします。
スギゴケの増やし方と生殖
スギゴケを増やすにはまずスギゴケが元気に育っていることが前提です。
スギゴケがしっかり根付き(根はないので根付きとは言わない)その環境に慣れていると冬の寒さにも耐え冬を越すことができます。
冬の時期に休眠状態になっていたスギゴケは春になり、暖かさと湿度を得ると配偶体(葉のように見える部分)が一気に生長して造卵器や造精器を形成します。
その後、生殖が行われるためまずはスギゴケが元気に育つ環境を維持することが大切です。
スギゴケの雌株と雄株
スギゴケには雄株と雌株があり、雄株には造精器、雌株には造卵器が形成されます。
その後、雨風により造精器で作られた精子が流されて受精が行われます。
そのため雨が当たらない軒下や気候に影響を受けない室内では自然な受精が行われなくなってしまうのです。
スギゴケは雨水が溜まり浸水してしまうような場所は好みませんが、雨風はしっかり当たる場所の方が自然と増えることが出来るのです。
苔類の凄いところは受精によって増える以外にも実は無性芽を分離させて増えることもできるので全く受精出来ない環境でも違った方法で増えることも出来るのです。
スギゴケの胞子のうは種類により様々
スギゴケがうまく受精すると雌株は胞子体というものを伸ばし先端に胞子を溜め込みます。
この胞子のうの形は同じスギゴケの仲間でも種類によって特徴があり、スギゴケの種類を見分ける一つの要素ともなっています。
苔観察の中でもこの胞子のうを見るのが楽しみという人もいるくらい苔の魅力の一つともなっています。
確かに胞子体をつける時期の苔は一年でも一番色鮮やかな色合いをしているうえにちょっと変わった形と色の物体が出てくるわけですから他の植物で言うところの花のようなものなのでしょう。
育成しているスギゴケが一年を通して胞子体を形成しないような場合にはスギゴケにとって好ましい環境ではないのかもしれません。
また、あまりにも少ない量で植えてしまったり、スギゴケ同士に間隔を空けてしまうと上手く受精できないことがあります。
スギゴケを植える際にはまとまった量をある程度密生させコロニーを形成することもスギゴケを上手な増やすコツです。
まずはスギゴケが綺麗な胞子体を形成できるような育成環境を作り上げてみましょう。
もし、スギゴケが豊富に手に入るのでしたら一箇所で育成するのではなく様々な環境に置いてみてどの環境のスギゴケが一番増えているのかを観察してみるのも面白いかもしれません。
胞子のうが開いて胞子を飛ばす
スギゴケの胞子体が成熟すると胞子を飛ばし、地面に落ちた胞子は環境に適応すると発芽して枝分かれし、糸状の原糸体を形成します。
その上に植物体が生長しコケの葉のように見える配偶体が出来上がります。
ここまで来て初めてスギゴケが増えたと認識できるようになります。
苔は受精に対しても胞子の放出に対しても虫の力は借りずに周りの環境を上手く利用しています。
雨風により受精を行い、風の流れを利用して胞子を飛ばします。
よって室内よりも屋外の方が断然苔を増やしやすい環境と言えます。
苔は非常に単純な生き物のように思われますが、生殖のメカニズムを知ると苔の生命力の強さを感じることが出来るものです。
まとめ
スギゴケの増やし方についてスギゴケが好む環境と生殖の仕組みについてご紹介しました。
綺麗なスギゴケを増やし素敵な苔庭や苔盆栽を楽しんでください。
スギゴケは通販でも販売されています。身近でスギゴケが採取できない方におすすめです。