
苔盆栽や苔玉を始めたけれどなかなかうまく育ってくれない。
スギゴケが茶色く枯れてしまった。
苔は丈夫で放っておいても枯れないと思っていたのに・・・
そんな方のために苔が枯れてしまう原因と枯らさないためにできることをまとめてご紹介いたします。
苔が枯れてしまう原因① 日照不足
苔は非常に環境適応力に優れ、どのような場所でも生きていけるイメージを持たれがちですが、苔もコケ植物と言われるように植物である以上、光合成を行いますし枯れることもあります。
苔が枯れてしまうということは正常に光合成ができていないことを意味します。
苔が枯れてしまう原因を色々な角度から考えていきましょう。
まず苔と言うとジメジメした日陰を好む植物と思われている方も多いようですが、その思い込みが苔を枯らす原因の一つとなることもあります。
種類によって好む湿度や日当たりの良さに多少の違いはありますが、苔は本来、日の光が当たる場所に好んで生えています。
関連記事
逆に高い草木が鬱蒼と茂っているような一日中暗い場所には苔は生えていません。
その理由はもちろん苔も植物なので光を受けて光合成を行うために日の光が当たらない場所では生きていけないからです。
半日陰や木漏れ日の差し込むような場所を好み、一日中直射日光が照りつけるような場所は避けているようなところがジメジメした日陰を好むようなイメージを作り上げているのかもしれません。
よって室内での苔育成でも苔が光合成をしっかり行えるように適度な光を確保してあげることが大切です。
窓辺などに置き、朝日や日中の太陽の光を上手く利用できれば問題ありませんが、日の光が当たらない室内に置いているのであれば、照明を設置してあげると上手く育つようになります。
苔育成専用というわけではありませんが、植物育成用の照明も色々なものが販売されていますので利用してみてはいかがでしょうか。
苔の生える場所から好む環境を知る
地図上で言えば熱帯地域から極寒地域まで標高で言えば高山から海岸まで、環境で見れば山深い大自然から都会のビルの狭間までと海と砂漠を除いた世界中のどのような場所でもほんのわずかでも育成環境に適した場所があればそこに苔は生息しています。
直射日光が長時間当たる乾燥した場所に適応した種類の苔もありますが、多くの苔は空気中の湿度が常に高い状態に保たれる渓谷や林内に好んで生息しています。
特に日中霧が立ち込めるような熱帯地域の森には旺盛な苔の生育が見られ、林床から木の幹や枝まで森内のほとんどが苔で覆われているような錯覚さえ覚えされられる蘚苔林が広がっています。

維管束植物などと違い苔は空気中に適度な湿度が保たれていないと乾燥してしまい光合成ができないのです。
そのために条件が整う場所を選んでいるのですが、そのことを知らずにただ水分だけを与え続けても結果的に腐らせてしまうこともあるのです。
苔が枯れてしまう原因② 蒸れて枯れる苔
高温多湿による蒸れも苔には大敵とされています。
苔は寒さや暑さといった自然環境の変化には強いのですが、人為的に作り出された環境には適応できないことがあります。
その典型的な例が多湿状態で高温にさらされてしまうことです。
真夏の日中は強い光が当たり高温になることも多いですが、そのような時に苔は乾燥して自ら葉を閉じるようにしています。
しかし真夏の日中などに、暑いから萎れないようにと気を使い水をあげてしまうと苔は無理矢理水分を吸わされて葉を開いてしまううえに高温で茹だってしまうのです。
そのような状態になると白くなって枯れてしまいますので注意しましょう。
考えてみると分かるとは思いますが、自然界では強烈な直射日光を浴びながら雨が降ることはないはずです。
雨が降る時には空一面に雲が広がり日の光を遮るもので、高温多湿の直射日光こそ人為的に作られた環境と言って良いでしょう。
そのような理由から真夏の日中の水やりは百害あって一利なしですので、真夏はやや乾燥気味に育てるようにしましょう。
苔は維管束植物と違い乾燥にはめっぽう強いことを覚えておきましょう。
関連記事
また苔は環境適応力が高いので乾燥にも多湿にも強いのですが、急激な環境の変化には流石に限界を感じることもあるようです。
乾燥と多湿を短時間で繰り返すような極端な環境の変化ではカビが生えたりして枯れてしまうこともあります。
このことも先に述べた高温多湿と同じで自然界で起こり得る範囲の変化には順応できるのですが、人為的に作られた環境には適応できないことが多いのでしょう。
そう考えると世話の焼き過ぎは逆効果であり、放っておくくらいの方が元気に育ってくれるということになります。
いやいや・・・放っておくというと弊害があるかもしれません。
苔の生命力を信じて「見守ってあげること」が苔にとって良い環境であることも多いということを理解しておきましょう。
気温の低下による成長停止
苔の光合成は日照時間と水分だけに影響を受けるわけではありません。
気温の低下により苔の活動が低下すれば光合成もほとんど行わなくなります。
よって冬は苔の成長が急激に遅くなる季節でもあります。
そのような時に過剰に水やりを行うと水分過多により苔が枯れてしまうこともあります。
苔育成はあくまでも自然の環境を室内に再現することが理想です。
そのため冬には少々乾燥気味にするくらいでも問題ありません。
気温が低下すればもちろん苔の色合いが悪くなるものです。
種類によっては茶色く枯れているようになってしまうものもあります。
それでも春になり、気温が上昇すればまた光合成を活発に行い、綺麗な新芽を出すようになりますので心配いりません。
一年を通して綺麗な苔を見たい場合にはパネルヒーターなどを利用して保温してあげるのも一つの方法です。
苔が枯れる原因まとめ
- 苔が枯れてしまう原因は正常に光合成ができていない場合が多い。
- 苔も植物なので光が当たらない場所では成長できない。
- 室内では気温が上昇しすぎない時期の窓際や植物育成用ライトで育てる方法がお勧め。
- 気温が高い時期・時間帯に水を与えすぎると蒸れて枯れてしまう。
- 苔育成では世話の焼き過ぎが苔を枯らせてしまうこともある。
- 気温が低下する季節は苔の成長も止まる。