悪い苔とはどんな苔なのか?
ゼニゴケは人の体に悪影響を与える?
水はけの悪い庭に生える苔は悪い苔?
苔は種類によって毒を持っている?
こんな苔の中でも悪い苔と言われる苔の種類についてご紹介いたします。
悪い苔とはどんな苔なのか?
苔に悪い種類の苔はあるのか?
このような疑問に対して何をもって悪い苔と判断するのかによって答えは変わってくるはずです。
見た目が悪い苔を悪い苔と定義するのか?
人に悪い影響を与える苔を悪い苔と定義するのか?
繁殖力が強く駆除が困難な苔を悪い苔と定義するのか?
そのような問題を一つ一つ考えてみましょう。
まずは見た目が悪い苔ですが、確かに苔の中には見た目が気持ち悪く感じる苔もあります。
その感じ方は人それぞれですが、民家のそばで見かけるゼニゴケや山の中で見かけるジャゴケなどは人によっては気持ち悪い苔と思うかもしれません。
ジャゴケとゼニゴケ
逆に小さな木が生えているように見えるスギゴケやコウヤノマンネングサ、ふさふさした感じが可愛らしいヒノキゴケなどは人気のある苔と言えます。
コウヤノマンネングサとスギゴケ
次の「人に悪い影響を与える苔はあるのか?」ですが、この点については人に悪影響を与える苔はありません。
確かに苔は食べても美味しくないので食料にはなりません。
また、害がないと言っても大量に食べてしまうとどうなるのかはわかりませんが、好んで苔を主食とする人はいないはずです。
苔を好んで食べる動物や昆虫なども少ないのでやはり美味しくないのでしょう。
近年ではコケリウムやコケボトルとして室内で苔を鑑賞する趣味が人気となっていますが、苔を観賞用として室内に置いておく分には体に悪いことはありません。
苔自体に体に悪い成分は含まれていませんが、苔を採取する場所によっては苔に微生物や虫が潜んでいることがあります。
苔を隠れ家とする生物の中には人に害を与えるような良くないものがいる可能性は否定できません。
よって室内で苔ボトルやコケリウムを楽しむ際には苔をしっかり洗ってから使用することでそのような問題を避けることができます。
最後の繁殖力が強く駆除するのが大変な苔を悪い苔と考える考え方。
これは悪い苔と言うよりも厄介な苔と言ったところでしょう。
駆除が大変で厄介者の代表とされる苔はゼニゴケです。
ゼニゴケは非常に繁殖力が強く間違った駆除方法ではすぐに増えてしまうものです。
ゼニゴケは見た目も気持ち悪いし、繁殖力が強く厄介者。
そうなるとやはり「悪い苔」とされてしまうのかもしれません。
ゼニゴケは人の体に悪影響を与える?
ゼニゴケは一般的に悪い苔と言われることが多い苔ですが、ゼニゴケが人になにか悪影響を与えているのかというとそういうことではありません。
植物を食い荒らす虫や人を刺す蜂や毛虫などに比べれば全くというほど害のない存在とも言えます。
ゼニゴケに限らず苔の仲間で人の体に悪影響を与える苔は知られていません。
苔は非常に小さいためカビなどの菌類と同じように考えられてしまうことが多いものですが、苔は苔植物に分類される歴とした植物の仲間です。
一方、カビは菌類に分類される微生物です。
一般的なイメージとして苔と同じような環境を好むカビは人に悪い影響を与えるものも多いものです。
カビが繁殖するための胞子を吸い込むとアレルギー症状を引き起こすことがあります。
苔も胞子を飛ばして繁殖する種類が多いですが、苔の胞子はカビなどの菌類の胞子よりも大きく、広い範囲に飛び散らないうえ、アレルギー症状を引き起こしたという事例もありません。
苔植物とカビ類は全く違うもので人に与える影響も違うと言うことを覚えておきましょう。
自然の苔が群生している姿を見たことがない方は一度苔の森や苔庭で有名な場所に出かけてみてはいかかがでしょうか。
苔に囲まれることで感じる感覚を五感で感じることで苔が体に悪いものなのか、良いものなのかを実際に感じ取ることができるはずです。
このような苔の森と呼ばれる場所は日本各地に存在し、多くの動植物を育んでいます。
「苔の森」が動植物にとって住み良い環境であり、「カビの森」というものが存在しないことからも苔が私たち人間も含めて多くの生物に良い影響を与えていることはご理解いただけるとおもいます。
近年では苔の森見学ツアーなども盛んに開催されています。
屋久島や八ヶ岳などは苔の森として非常に魅力的な場所でもあり、苔愛好家が憧れる旅先でもあります。
水はけの悪い庭に生える苔は悪い苔?
ゼニゴケは水はけの悪い庭などに生えることから「見た目が気持ち悪い」とか「ジメジメしていて不衛生」のようなイメージを持たれがちです。
確かに見た目が気持ち悪い、じめしめした場所に生えるなどの理由から体に悪い物質を含んでいるように思われがちですが、先にも述べたように苔そのものに人に悪い成分は含まれていません。
水はけの悪い庭などではそこに生える苔が悪いものなのではなく、その環境自体が悪いものだと言えます。
- 常に水が溜まっていると水が腐る。
- カビが生えやすい。
- 不衛生な虫などが集まりやすい。
このような理由が水はけの悪い庭のイメージを悪くしているのです。
そのような環境を改善することで水はけの悪い庭ではなくなり、その結果そこに生える苔の種類も変わってくるはずです。
苔は種類によって毒を持っている?
苔には毒性を持った種類はありません。
日本では苔を利用した薬などはありませんが、中国では苔の仲間が漢方で利用されています。
オオスギゴケには解熱や利尿作用があるとされています。
日本で使用されていないのでその信憑性は確かではありませんが。
悪い苔についてまとめ
- 苔の中には見た目が悪い苔はあるが、人に害を与える苔はない。
- 苔に毒性はないが食べても美味しくないので食料としては流通しない。
- 苔は光合成を行う植物の仲間であり、カビは菌類の仲間なので全く違う。
- ゼニゴケは見た目の気持ち悪さや繁殖力の強さから厄介者の苔とされることは多い。
- 水はけの悪い場所に生える苔が人に悪い影響を与えるのではなく、水はけの悪い庭そのものが良くない環境を作り出す。
今回は苔の種類の中でも悪い苔と思われがちなゼニゴケなどについてご紹介しました。皆様の苔植物との付き合い方の参考にしていただけると幸いです。