
近年の苔ブームの煽りを受けて苔玉や苔テラリウムなど苔の持つ美しさにハマってしまう人がいる一方で「出来れば触りたくない」、「裏庭に勝手に生えてきて困る」など駆除対象とされてしまうこともある苔。
特にゼニゴケのような苔は庭に生えやすく嫌われる苔の代表と言える苔かもしれません。
確かに苔にはいつの間にか生えている。何処にでも生えてくると言ったイメージがありますが、どうしていつの間にか生えてくるのか?
そのメカニズムについて話を掘り下げてみましょう。苔が生えてくる仕組みを理解しておく事で苔を駆除する方法や苔を生やさないようにする方法も見えてくるはずです。
いつの間にか生える苔の増え方

苔の増え方には他の植物とは違う大きな特徴があり、その一つ目の特徴が、胞子で増えるという点です。
苔の増え方には胞子の他にも無性芽で増えていく方法などもありますが、今まで苔が生えていなかった場所に苔が生えてきたと思わせるような増え方として、今回はこの胞子での増え方についてクローズアップして話を進めていきます。
風に飛ばされて飛来してきた胞子は落ちた場所が適度な水分と日光を得られる場所であれば発芽します。
苔植物は根を持たないためにその場所が土である必要はなく、コンクリート、岩、倒木などどのような場所でも成長することができます。
ただ苔にも種類によって好む環境に違いがあるため、偶然飛来した場所がその苔の好む環境でなければ成長し続ける事は出来ません。
環境がその苔に適していれば発芽した胞子から原糸体と呼ばれる糸状のものを伸ばし、何度も分枝を繰り返して地面に広がっていきます。
その後、ある程度まで広がった原子体から一斉に芽を出し、大きくなって葉をつけるようになります。
注意深く観察していれば原子体が広がって地面が緑色に染まってくる様子を確認することはできますが、苔の知識が無ければそこから一斉に苔が生えてくるとは思わないので気にも止めないはずです。
そして数日後、沢山の苔が生えているのですから苔がいつの間にかに生えていると思ってしまうのでしょう。
このようなメカニズムで苔はどのような場所にでも勝手に生えてしまいますが、先にも述べたように適度な水分と日光が無い場所には生えることができません。
それは苔も苔植物と呼ばれるように光と水を利用して光合成を行うからなのです。
よって暗くてジメジメした所ならどんなところにでも生えてくると思われがちな苔ですが、日の光が差し込まないような真っ暗な場所などに生える事は決してありません。
光をどのくらい必要とするのかは種類によって違っていて、河原の岩の上のように非常に明るい場所を好む苔もあれば、日陰にだけ生える苔もあります。
これはシダ植物や種子植物にも明るい場所を好む種と日陰を好む種がいるのと全く同じで、決して苔植物だけが薄暗い場所を好んでいるわけではありません。
苔の特徴を理解したところで苔の駆除方法について考えてみましょう。
苔の駆除の基本は環境を大きく変える
種類によって日陰を好む苔と日向を好む苔があるということは今、その苔が生えている環境を変えることで苔対策ができるはずです。
日陰のジメジメした場所に生えている苔であれば、日の当たる環境を好みませんので日陰を作る要因となっているものを撤去してしまえば環境を変えることが出来ます。
木々が鬱蒼と茂っているのであれば剪定して明るくし、風通しを良くすることで環境を変えることができます。
また、日の光が当たらないようにしてしまうのも一つの手です。
雑草防止シートで覆ってしまったり、バークチップなどを敷き詰めてしまうのもいい方法でしょう。