苔玉の寿命は苔の寿命で決まる 苔はどのくらい生きるか

2019年10月12日

苔玉の寿命は苔の寿命で決まる 苔はどのくらい生きるか

苔の寿命

苔玉や苔盆栽などで苔を育てていると気になるのが、苔って寿命があるのだろうか?そんな苔の成長と寿命の関係についてご紹介いたします。

苔などの植物に対して寿命という言い方が正しいのか、寿齢と言うべきなのかはよくわかりませんが、苔がどのくらい生きられるものなのかの話をしていきましょう。

 

 

苔はどのくらい生きるか

非常に丈夫でどのような環境でも生き抜くことが出来るように思われがちな苔ですが、いくら苔でもその種ごとに好む環境があり、その環境から大きく逸脱した環境に移植されれば枯れてしまいます。

そのように大きく環境が変わったことにより枯れてしまったりするような外部的要因は今回は検討外として、その苔が元気に育つために必要な条件は揃っている事を前提に話を進めていきましょう。

環境変化の影響を受けない自然環境下ではどの位の寿命があるのか。それはコケの種類によって大きな違いがあるのです。

冬場でも青々としているイメージが強いためか、一般的にコケとは常緑の植物と思われがちですが、苔植物の仲間にも冬枯れする一年性の種が存在します。

草花でも同じように何年もかけて大きくなっていくものもあれば花を咲かせ、種を残し、一年で枯れていく種があるのと同じことなのです。

一年性の苔 一年で一生を終える苔

一年性の苔植物というものは実は珍しいものではなく、日本に生息するものだけを考えてみてもかなりの種類があります。

なかには西日本の田んぼに普通に生えている葉状体性の苔類ウキゴケ属の一種であるカンハタケゴケのように、晩夏頃に胞子が発芽して翌年の春先には消えるという、数ヶ月でその一生を終える短命のものもあります。

一年性のコケ植物は、その成長の時間が限られていることから、そのほとんどは小型の種類に限られ、なかなか私たちの目に触れることはありません。

そのような特徴からあちらこちらに普通に生息しているのですが、簡単に見過ごしてしまうのです。

一年性のコケ植物はその短い生涯の間に一回だけ、それも一生の最後の段階になって胞子嚢を作り、胞子を飛ばした後は枯れてしまいます。

休眠などによって成長に不適切な時期をやり過ごすことができるために、胞子は一般に植物体に比べて乾燥などの厳しい条件により長く耐える力があります。

このことから、一年性のコケ植物は、生存に不適切な状況が定期的に訪れるような、言葉を換えれば不安定な場所に生えるうえで都合がよいことになります。

多年性の苔 何年も生き続ける苔

一方、森林の林床などのように安定した環境には、何年にもわたって生き続け、毎年のように胞子嚢をつくる種類がより多くみられます。

蘚類イワダレゴケでは同じ個体が80年以上生き続けているという報告があります。

一年性のコケ植物であっても、多年性のコケ植物であっても植物にとって大切なことは、他の種がやってくる前に出来るだけ素早くその場所を占有し、居座り続けること、そして自分の子孫でいっぱいにすることにほかなりません。

生きる環境が不安定なのか、あるいはずっと安定しているのか、その違いに対する適応の差だということができます。

苔のライフサイクルとその呼び名

コケ植物にはそのライフサイクルからいくつかのパターンがあり、それぞれに呼び名があります。

逃亡者の苔

最適な場所を求めてあちらこちらと放浪するもので、高等植物ではあまりみられないタイプです。

同じ場所に定着しないことが特徴で、その場所が生育に適さなくなると、翌年には消えてしまうことも少なくありません。

日本では焚き火跡などによく現れるヒョウタンゴケ、あるいは人間の立ち小便跡などに忽然と現れすぐに消えるヤワラゼニゴケなどがこれに相当します。

動物の糞や死骸を選択的に好んで生じるマルダイゴケもこの仲間と言えるでしょう。

植民者の苔

私たちに身近なギンゴケやゼニゴケ、あるいは林道ののり面にいち早く入り込むアカウロコゴケなどがこの仲間で、それほど長期間ではありませんが、少なくとも数年間は生きる種類がほとんどです。

定着してからしばらくは生殖を行わず、もっぱら植物体の成長によってどんどんと群落を広げていきます。無性芽と呼ばれる無性繁殖器官も盛んに作ります。

ある程度年月が経って群落が成熟すると、今度は盛んに胞子体をつくり胞子を飛散させ、他の場所を求めてゆきます。

一年性定着者の苔

カンハタケゴケのように短命のものや一年性、あるいは二年性のもので、遷移のどの段階にでも入り込む種類がここに含まれます。

有性生殖だけを行ない、無性生殖が稀なのも特徴的です。

胞子はやや大型で遠くに飛ぶことはなく、親の近くに落ちますので、同じ場所に生き続けますが、一年のうち乾燥や低温など成長に不適切な時期には植物体は消えて、胞子でやり過ごします。

多年性定着者の苔

一年性定着者とは違って長期間に渡って安定した生育環境に生え、胞子が発芽して三年以上経ってから胞子体をつくり始める種類がここに含まれます。

群落の維持には群落内で作られた胞子体から新たに供給される胞子と植物体の両方が貢献しています。

ただし、次の安定的定住者と違うのは、木の幹や枝など生育場所そのものがある程度の年月が経つと失われ終末を迎えてしまうところです。

安定的定住者の苔

八ヶ岳の針葉樹林の林床は、イワダレゴケやウマスギゴケなど、数十年以上にわたって生き続ける種類によって埋め尽くされていることがあります。

このような非常に長い期間に渡って安定した場所に生育する、長寿の種類がこの範疇に入ります。

どうでしょうか。みな同じように見える苔たちにも、それぞれの種ごとに実に多様な生き方があるらしいことを感じていただけたのではないかと思います。

さらにもう少し詳しく、長寿の種類として取り上げたウマスギゴケとイワダレゴケの様子について見てみることにしましょう。

ウマスギゴケは近縁のオオスギゴケとともに苔庭にもよく使われている苔で、みなさんもよくご存知かと思います。

この苔はふんわりとした群落を作りますが、一本の茎を引き抜いてみると、先端から数センチメートルの緑色をした部分の下に、ずっと長い茶色の茎が隠れていることがわかります。

この茎をよく見てみると、ついている葉の密度と大きさが場所によって異なることに気がつきます。

小さい葉が詰まっている短い部分と、大きな葉がやや離れてついている長い部分が交互に位置しているのです。

これは春から夏にかけての成長に適した時期には盛んに茎が成長するのですが、冬季にはそれが鈍ることからこのような違いが生じます。

あたかも木の年輪のようなものです。これを使えば一本の地上茎の年齢をある程度推定することは可能です。

ただしスギゴケの仲間は地下茎を盛んに伸ばしてそこからいくつもの地上茎を出しますので、群落全体としての年齢を推定することはできないようです。

 

苔の枯れやしおれについてまとめましたので合わせてご覧ください

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