コケ植物は根から水分を吸収しない!?コケ植物の根と水分補給

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苔

コケ植物は根から水分や養分を吸収しません。

それがコケが今まで過酷な環境で生き抜いてきた理由でもあるのです。

そんな苔特有なコケ植物の根の役割と水分補給の仕組みについてご紹介いたします。

苔の根の役割や水分補給の仕組みを理解すると「へぇーよくできているなぁ~。」と感心してしまうものでもあります。

コケ植物の根は仮根と呼ばれている

コケ植物は根から水分や養分を吸収しません。

本来の根としての機能を持っていないため仮の根「仮根」と呼ばれています。

コケの体の作り上、根のように見えるけれども根と呼んでしまうと根の役割を果たしていないのでややこしい。

それなら仮の根と読んでおこうみたいな感じなのかもしれません。

仮根が水分を吸収しない理由と仮根の役割

苔には植物が本来持ち合わせている維管束が備わっていません。

維管束とは根から吸収された水分を植物体の隅々まで行き渡らせる器官ですので維管束を持ち合わせていないコケ植物は仮に根から水分や養分を吸収しても苔全体に行き渡らせることができません。

そのため仮根からは水分を吸収しないのです。

仮根の役割といえば苔が風で飛ばされたり雨で流されたりしないようにその場に留まるためのものです。

石や倒木、ブロック塀など様々な場所に苔を固定するためにはなくてはならない存在ともいえます。

維管束とは、植物が持つ内部組織の1つ。植物体の全体に亘ってその内部を貫く。役割としては液体(主に水や養分)の運搬と植物体の機械的な支持である。

引用元:Wikipedia

コケはどこから水分吸収するのか

苔が根から水分を吸収しないのなら苔はどこから水分を吸収するのか。

苔はスポンジと同じような仕組みで苔の葉の表面全てから水分をそのまま吸い込んでいます。

よって苔は他の植物以上に周囲の湿度の影響を受けやすいものです。

苔の葉は細胞一層で構成されており、水分の蒸発を防ぐクチクラ層は存在しません。

よって全ての細胞が空気に触れている状態です。

そのため、葉の表面が雨や露などで濡れると細胞に即座に水分が供給されますが、その反面空気が乾くと乾燥も早いのです。

苔には周囲の気中水分を取り込みやすいメリットの反面、大気が乾燥してくると次第に水分を失いやすいという特徴があります。

細胞一層で構成されており、根からの水分補給が必要ないという造りは、実は苔の増殖にとって非常に都合が良いことです。

根は固定のために使われているのですから、最悪無くても苔は育つことができます。

よって葉がちぎれて飛ばされたりすれば、その場で苔は成長を始め、新しい仮根を形成することができるのです。

このような苔の仕組みを理解すると根で水分を吸い上げてわざわざ下から持ち上げてくる必要が無いことがわかるはずです。

だから苔の根は水分や養分を吸収する必要がないのです。

苔は太陽の強い光から自分を守るような表皮を持ち合わせていないため、暑い真夏などに水分を保持し続けると体内の水分温度が上がり過ぎて蒸れてしまいます。

植物にとって蒸れは乾燥よりも脅威であり、異常な温度になると組織細胞を破壊されてしまいます。

そのような状態を避けるため苔はあえて水分を気化させてしまい、乾燥状態で耐える手段を身につけたのです。

このような苔独自の特徴を変水性といい、変化の大きい過酷な環境を生き延びる為の手段なのです。

この苔の仕組みを理解していれば苔庭の水やりなども失敗することはないはずです。

通常の植物でさえ真夏の暑い時間帯の水やりは避け、涼しい時間帯に水やりをするのが望ましいとされています。

苔はそれ以上に水やりのタイミングに気を使わなければなりません。

水分補給以外の栄養補給は?

水分を葉の表面から吸収することが理解できたらそこで出てくる疑問の一つが栄養の吸収はどうしているのかではないでしょうか。

植物は土壌の質によって成長が変わると言われるほど土からの栄養補給は大事な要素です。

しかし苔にはその仕組みがありません。

そうなると苔には栄養は必要ないのか?

いえいえそんなことはありません。

苔も植物の仲間ですので栄養を必要とします。

コケの栄養は雨に含まれる微量な成分や空気中に漂う物質から補われているとされています。

そのため苔の種類によって空気の悪い所では育たない苔もあります。

大気汚染の影響を受けやすいのもまた苔の特徴の一つとも言えるでしょう。

苔の根と水分補給まとめ

  • 苔の根は仮根と呼ばれ水分補給には使われていない。
  • 苔には維管束やクチクラ層が存在しなく、細胞一層で形成されているものが多い。
  • 苔は葉の表面全体から水分を吸収している。
  • 苔は水分を吸収しやすく、失いやすい体の作りをしている。
  • 苔の乾燥は枯れではなく、過酷な環境を耐え抜くための術。

今回は苔の根と水分補給の仕組みについてご紹介しました。

ハネヒツジゴケの顕微鏡写真

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