
苔玉や苔テラリウムに適した光環境を考えるとき、「日光か人工光か」という問いはシンプルに見えて、実はかなり奥が深い話です。
苔の性質をきちんと理解した上で光の与え方を決めないとせっかく作った苔玉や苔テラリウムが短期間で傷んでしまうことになりかねません。
苔は暗くてじめじめした場所に生えているというイメージを持っている方が多いと思いますが、そのような考え方には少し誤解があります。
苔も植物の仲間として光合成をして生きているため、ある程度の明るさがなければ育ちません。
暗い場所でも育つイメージがあるかもしれませんが、窓のない玄関などでは育てることができません。
また、苔玉と苔テラリウムは同じ苔でも育て方の前提が異なるため、光の与え方についても別々に考えるのがポイントです。
苔玉には屋外の明るい日陰が良い
苔玉は屋外の庭やベランダの明るい日陰で育てるのが理想です。
朝9時くらいまで日が当たり、日中は日陰になるような場所が最適です。
つまり、弱い朝日程度の自然光が苔玉にとっては理想的な光の強さと言えるのです。
基本的に苔は日に当てることで元気に育ちますが、強い直射日光は苔を傷めてしまうこともあります。
一方で、室内での栽培は基本的に避けたほうが無難で、普段は屋外で管理して、たまに部屋の中へ飾って楽しむことがおすすめです。
室内の環境は乾きやすく、苔に必要な明かりも不足しがちです。
室内に飾る場合は2〜3日間にとどめ、基本は外に置くようにします。
室内に苔玉を置いていて上手く育っていない時には、朝のうちの数時間ほどでも日の当たる場所に移動してあげるか、LED照明を設置して光を当ててあげると上手く育つようになります。
苔テラリウムに直射日光はNG
苔テラリウムの光管理は、苔玉とは少し事情が異なります。
よく勘違いされますが、苔が明るい場所を嫌いだから日光を当ててはいけないのではなく、容器の中に熱がこもってサウナ状態になるから当ててはいけないのです。
密閉のテラリウムである以上、日光が大好きな種類の苔や普通の植物であっても直射日光を当ててはいけません。
苔テラリウムのガラス容器に直射日光が当たるとビニールハウスのような状態になり、容器内がすぐに高温になって苔が茹で上がった状態になってしまいます。
それでは、どの程度の明るさが必要なのかといえば、テラリウムで育てるような種類の苔は、木漏れ日くらいの明るさを好むものが多く、照度では1000〜1,500ルクス程度が好ましい明るさです。
簡単な目安としては、新聞などの文字がちゃんと読める程度の明るさは最低必要で、日中の直射日光は苦手ながらも柔らかな光が長い時間帯当たっている場所を好みます。
具体的な置き場所としては、南・東・西の窓のわりと近くで、何かで日差しが直に当たらない場所や、1日最低半日以上は照明がついている明るい部屋が適しています。
オフィスは大抵一日中照明がついているので、実は苔を育てるのに結構良い場所です。
室内蛍光灯やLEDライトで代用できるか
苔は太陽の光でなく、人工照明でも育てることができます。
LEDや蛍光灯などが有効ですが、光の選び方には少し注意が必要です。
一般的な植物育成用のLEDライトや水草を育てるための照明器具を苔テラリウムに使用して、明かりが強すぎて苔にダメージが出るケースが多くあります。
強すぎる光を浴びると苔は光合成を抑制しようとして身を守り、自ら葉緑素を減らして色が黄色みを帯びたり、白っぽい色に変色していきます。
LEDの中でも白色系のものは比較的波長域が広いため、長期間栽培するための照明としておすすめです。
点灯時間の目安は1日8〜10時間です。
苔の種類ごとの光の好みも考慮する
苔テラリウムで使われる苔をひとくくりに考えることも多いですが、実際には苔の種類によって最適な明るさが異なります。
苔テラリウムに適した明るさとして1,000〜1,500ルクスという表現がよく使われますが、これはどの苔も比較的良好に育てられる明るさの範囲として幅をもたせた表現です。実際には育てる苔に合わせて微調整をしながら育てていくのが現実的に最適です。
光の管理に迷ったときは、「直射日光は絶対に避けつつ、人が日常生活を送れる程度の明るさを確保する」という感覚を基準にしておくと失敗が少なくなります。