コケの寿命 苔の育て方.com

コケの寿命

   

コケの寿命

苔の育て方.com>>苔に対する疑問と雑学>>コケの寿命

苔

苔などの植物に対して寿命という言い方が正しいのか、寿齢と言うべきなのかはよくわかりませんが、苔がどのくらい生きられるものなのかの話をしていきましょう。



非常に丈夫でどのような環境でも生き抜くことが出来るように思われがちな苔ですが、いくら苔でもその種ごとに好む環境があり、その環境から大きく逸脱した環境に移植されれば枯れてしまいます。

そのように大きく環境が変わったことにより枯れてしまったりするような外部的要因は今回は検討外として、その苔が元気に育つために必要な条件は揃っている事を前提に話を進めていきましょう。

環境変化の影響を受けない自然環境下ではどの位の寿命があるのか。それはコケの種類によって大きな違いがあるのです。

冬場でも青々としているイメージが強いためか、一般的にコケとは常緑の植物と思われがちですが、苔植物の仲間にも冬枯れする一年性の種が存在します。

草花でも同じように何年もかけて大きくなっていくものもあれば花を咲かせ、種を残し、一年で枯れていく種があるのと同じことなのです。

一年性の苔植物というものは実は珍しいものではなく、日本に生息するものだけを考えて見てもかなりの種類があります。

なかには西日本の田んぼに普通に生えている葉状体性の苔類ウキゴケ属の一種であるカンハタケゴケのように、晩夏頃に胞子が発芽して翌年の春先には消えるという、数ヶ月でその一生を終える短命のものもあります。

一年性のコケ植物は、その成長の時間が限られていることから、そのほとんどは小型の種類に限られ、なかなか私たちの目に触れることはありません。

そのような特徴からあちらこちらに普通に生息しているのですが、簡単に見過ごしてしまうのです。

一年性のコケ植物はその短い生涯の間に一回だけ、それも一生の最後の段階になって胞子嚢を作り、胞子を飛ばした後は枯れてしまいます。

休眠などによって成長に不適切な時期をやり過ごすことができるために、胞子は一般に植物体に比べて乾燥などの厳しい条件により長く耐える力があります。

このことから、一年性のコケ植物は、生存に不適切な状況が定期的に訪れるような、言葉を換えれば不安定な場所に生えるうえで都合がよいことになります。

一方、森林の林床などのように安定した環境には、何年にもわたって生き続け、毎年のように胞子嚢をつくる種類がより多くみられます。

蘚類イワダレゴケでは同じ個体が80年以上生き続けているという報告があります。

一年性のコケ植物であっても、多年性のコケ植物であっても植物にとって大切なことは、他の種がやってくる前に出来るだけ素早くその場所を占有し、居座り続けること、そして自分の子孫でいっぱいにすることにほかなりません。

生きる環境が不安定なのか、あるいはずっと安定しているのか、その違いに対する適応の差だということができます。

コケ植物にはそのライフサイクルからいくつかのパターンがあり、それぞれに呼び名があります。

逃亡者の苔

最適な場所を求めてあちらこちらと放浪するもので、高等植物ではあまりみられないタイプです。

同じ場所に定着しないことが特徴で、その場所が生育に適さなくなると、翌年には消えてしまうことも少なくありません。

日本では焚き火跡などによく現れるヒョウタンゴケ、あるいは人間の立ち小便跡などに忽然と現れすぐに消えるヤワラゼニゴケなどがこれに相当します。

動物の糞や死骸を選択的に好んで生じるマルダイゴケもこの仲間と言えるでしょう。

植民者の苔

私たちに身近なギンゴケやゼニゴケ、あるいは林道ののり面にいち早く入り込むアカウロコゴケなどがこの仲間で、それほど長期間ではありませんが、少なくとも数年間は生きる種類がほとんどです。

定着してからしばらくは生殖を行わず、もっぱら植物体の成長によってどんどんと群落を広げていきます。無性芽と呼ばれる無性繁殖器官も盛んに作ります。

ある程度年月が経って群落が成熟すると、今度は盛んに胞子体をつくり胞子を飛散させ、他の場所を求めてゆきます。

一年性定着者の苔

カンハタケゴケのように短命のものや一年性、あるいは二年性のもので、遷移のどの段階にでも入り込む種類がここに含まれます。

有性生殖だけを行ない、無性生殖が稀なのも特徴的です。

胞子はやや大型で遠くに飛ぶことはなく、親の近くに落ちますので、同じ場所に生き続けますが、一年のうち乾燥や低温など成長に不適切な時期には植物体は消えて、胞子でやり過ごします。

多年性定着者の苔

一年性定着者とは違って長期間に渡って安定した生育環境に生え、胞子が発芽して三年以上経ってから胞子体をつくり始める種類がここに含まれます。

群落の維持には群落内で作られた胞子体から新たに供給される胞子と植物体の両方が貢献しています。

ただし、次の安定的定住者と違うのは、木の幹や枝など生育場所そのものがある程度の年月が経つと失われ終末を迎えてしまうところです。

安定的定住者の苔

八ヶ岳の針葉樹林の林床は、イワダレゴケやウマスギゴケなど、数十年以上にわたって生き続ける種類によって埋め尽くされていることがあります。

このような非常に長い期間に渡って安定した場所に生育する、長寿の種類がこの範疇に入ります。

どうでしょうか。みな同じように見える苔たちにも、それぞれの種ごとに実に多様な生き方があるらしいことを感じていただけたのではないかと思います。

さらにもう少し詳しく、長寿の種類として取り上げたウマスギゴケとイワダレゴケの様子について見てみることにしましょう。

ウマスギゴケは近縁のオオスギゴケとともに苔庭にもよく使われている苔で、みなさんもよくご存知かと思います。

この苔はふんわりとした群落を作りますが、一本の茎を引き抜いてみると、先端から数センチメートルの緑色をした部分の下に、ずっと長い茶色の茎が隠れていることがわかります。

この茎をよく見てみると、ついている葉の密度と大きさが場所によって異なることに気がつきます。

小さい葉が詰まっている短い部分と、大きな葉がやや離れてついている長い部分が交互に位置しているのです。

これは春から夏にかけての成長に適した時期には盛んに茎が成長するのですが、冬季にはそれが鈍ることからこのような違いが生じます。

あたかも木の年輪のようなものです。これを使えば一本の地上茎の年齢をある程度推定することは可能です。

ただしスギゴケの仲間は地下茎を盛んに伸ばしてそこからいくつもの地上茎を出しますので、群落全体としての年齢を推定することはできないようです。

前の記事>>苔が勝手に生えてくる原因と対策
次の記事>>苔庭に向いている苔の選び方



関連記事

  • 苔に対する疑問と雑学

    「苔はどこにでも生えるもの」それが故に普段は全く気にも留めない存在であるかもしれません。しかし、一度苔に興味を持ち色々と調べて>>続きを読む


  • オオスギゴケとウマスギゴケの見分け方

    スギゴケは苔庭などに利用されることが多い苔で、自然の中でも林床などで見かけることの多い苔でもあります。スギゴケにもいくつかの仲>>続きを読む


  • 苔が勝手に生えてくる原因と対策

    近年の苔ブームの煽りを受けて苔玉や苔テラリウムなど、苔の持つ美しさにハマってしまう人がいる一方で、出来れば触りたくない、裏庭に>>続きを読む


  • 苔庭に向いている苔の選び方

    木漏れ日の差し込む登山道を歩いていて、鮮やかな色合いの苔の群落に目を奪われることもあれば、何気なく訪れた箱根美術館や西芳寺、桂>>続きを読む


  • 森や林で苔を探す

    森や林の中はコケにとっても非常に住み良い場所であり、多くの種類のコケが生息していますので自分の好みのコケや魅力的なコケが見つか>>続きを読む


  • 室内で苔を上手に育てるコツ

    観葉植物などでも屋外で育てる時と室内で育てるときには、管理項目や気をつける点が違うように苔育成でも室内で育てる時には気をつけた>>続きを読む


  • 街中のコケと山のコケの違い

    道路脇や石垣など街中に生える苔は乾燥に耐えるために苔同士が密接に寄り添いあいコロニーを形成する種が多いものです。また、森の中や>>続きを読む


  • ヒカリゴケが光る理由

    自然界において光を放つものは何故かしら人の興味を惹くものです。光を放つ生き物と言えばまず挙げられるのがホタルでしょう。日が沈み>>続きを読む


  • 苔とその他の植物との大きな違い

    庭の片隅にひっそりと生える苔や森の中で他の植物に混ざりながら倒木や岩の上などちょっとしたスペースを間借りするように生える苔。こ>>続きを読む


  • スギゴケの仲間と種類の違い

    スギゴケと呼ばれる苔には数種類の仲間が存在し、それぞれに育つ環境や成長過程に違いがあるのをご存知でしょうか?スギゴケの種類的特>>続きを読む


    PR 水草 | メダカ | 金魚 | カメ | トカゲ | ガーデニング |

  • PR

    苔を知る

  • 苔を知る
  • 混乱を招く苔の仲間
  • 苔が小さい理由
  • 苔の入手と採取
  • 苔採取の場所と方法
  • 苔採取の季節
  • 苔の育て方と日常管理

  • 苔の育て方と日常管理
  • 苔を育てる
  • 苔庭作りと日常管理
  • 苔に必要な水と光
  • 苔が枯れる理由
  • 苔の水やり
  • 苔の増やし方と植え方
  • 育てやすい苔の種類

  • 育てやすい苔の種類
  • ギンゴケの育て方
  • ハイゴケの育て方
  • スナゴケの育て方
  • エゾスナゴケの育て方
  • シノブゴケの育て方
  • ホソバオキナゴケの育て方
  • ジャゴケの育て方
  • トサカホウオウゴケの育て方
  • コツボゴケの育て方
  • ツルチョウチンゴケの育て方
  • ホソウリゴケの育て方
  • ネズミノオゴケの育て方
  • ハマキゴケの育て方
  • ホウオウゴケの育て方
  • コダマゴケの育て方
  • アラハシラガゴケの育て方
  • スギゴケの育て方
  • タチゴケの育て方
  • ヒノキゴケの育て方
  • ハネヒツジゴケの育て方
  • コウヤノマンネングサの育て方
  • カモジゴケの育て方
  • 苔テラリウムで苔育成

  • 苔テラリウムで苔育成
  • 簡単!苔テラリウムの作り方
  • 苔テラリウムの土
  • 苔テラリウムの日常管理
  • 苔玉で苔を育てる

  • 苔玉で苔を育てる
  • 苔玉にお勧めな苔の種類
  • 苔玉の作り方
  • 苔玉の管理と肥料
  • よく読まれている記事

  • ホソウリゴケの育て方

    ホソウリゴケは小型のハリガネゴケ科に属しており、都市部のコンクリート壁などにも見つけることができる苔です。都市部ではギンゴケや>>続きを読む


  • ヒノキゴケの育て方

    杉とヒノキと言えば植林の代表格みたいなものでどちらも似たようなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。苔の話になる>>続きを読む


  • シノブゴケの育て方

    園芸では大型のオオシノブゴケ、トヤマシノブゴケ、アオシノブゴケ、ヒメシノブゴケなどがシノブゴケとして扱われています。葉の形はど>>続きを読む


  • コツボゴケの育て方

    コツボゴケは低地から山地のやや日陰の湿った地上や岩の上などに見られる苔で、人家近くでは畑の縁や林道脇の日陰地にも自生しています>>続きを読む


  • スナゴケの育て方

    スナゴケは河原や山地の日当たりの良い砂質の土や岩の上、石垣などに黄緑色の群落を作り、湿った場所でなら直射日光が当たるところでも>>続きを読む


  • ギンゴケの育て方

    ギンゴケはコンクリート塀の地際や石垣など街中でも一番よく見られ苔の一種です。ギンゴケは都会の雑踏などの過酷な環境を生き抜くだけ>>続きを読む


  • ハマキゴケの育て方

    ハマキゴケは乾燥すると葉が両側から内側に巻き込まれ、まるで枯れているかのように茶褐色に見える特徴的な苔です。その枯れたような姿>>続きを読む


  • スギゴケの育て方

    スギゴケと呼ばれるものには数種類あり、園芸ではコスギゴケ、ウマスギゴケ、オオスギゴケなどがスギゴケとして扱われています。コスギ>>続きを読む


  • 苔採取の場所と方法

    苔はホームセンターや園芸店でも販売されていますが、少し近所を歩き回ってみると今まで気にしなかった場所にも結構見られるものですの>>続きを読む